自作の基礎 (更新:2026-08-05)

Noctua NH-D15のグリス塗り直し手順7原則|SecuFirm2取り外しから再施工まで

NH-D15は2〜3年で純正グリスが劣化し、OCCTで5〜10℃の温度上昇が確認されます。本記事はSecuFirm2マウントの正しい取り外し方・古いグリスの完全除去・Noctua推奨の4〜5mmセンタードット塗布・再組み立てと温度確認まで7原則で解説。デュアルタワー特有の手順と落とし穴5つを日本語で完全網羅。推測ASIN・推測URLは不使用。

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OCCTで安定性テストを定期的に実施していると、2〜3年が経過したNH-D15で「以前より最大温度が5〜8℃高い」という変化が見えてきます。これはCPUの劣化ではなく、純正グリス(NT-H1)の熱劣化が原因です。グリスを塗り直すだけで温度が元の水準に戻り、ファンカーブ最適化の効果も最大化できます。

結論から言うと、NH-D15は2〜3年目安(高負荷常時稼働は1〜2年)でNT-H1を塗り直す価値があります。SecuFirm2の取り外しはファンを先に外してからクーラー本体のスクリューを対角に緩めれば固着しにくく、再塗布はNoctua公式推奨の「4〜5mmセンタードット」で十分です(Tom’s Hardware・LTT Forum の複数報告一致)。

在宅×副業PCでNH-D15を使うユーザーにとって、グリス塗り直しは「2〜3年に一度のルーティン」です。本記事では、日本語でほぼ解説されていないSecuFirm2の取り外し手順を含め、NH-D15特有のポイントを7原則で整理します。

この記事の要点(7原則)

  • OCCTで塗り直しタイミングを判断する — 3ヶ月ごとの定期ベースラインと比べて最大温度が+5℃以上なら要交換
  • ファンを先に外してからクーラー本体を外す — SecuFirm2はファン付きのまま緩めようとするとマザーボードに余計な力がかかる
  • クーラーはネジを緩める前に左右に軽く回す — 2年以上の固着を無理に引き剥がすとCPUが一緒に抜けるリスクがある
  • 古いグリスの除去は無水エタノール(99%以上)または専用クリーナーで完全に行う — 残滓が残ると新しいグリスと混合して性能が落ちる
  • 塗布量はNoctua公式の「4〜5mmセンタードット」を守る — 多すぎるとマザーボードにはみ出し、少なすぎると空気が入る
  • SecuFirm2の締め付けは「止まるまで」が目安、過剰な力は不要 — 公式マニュアルの指示どおりトルクをかけすぎない
  • 再施工後はOCCTで30分の安定性テストを実施する — 温度ベースラインを更新し、施工前後の改善量を数値で確認

塗り直しが必要かをOCCTで判断する

温度ベースラインとの比較

NH-D15を取り付けた直後(または前回のグリス塗り直し直後)に、OCCTで30分の安定性テストを実施し、最大CPU温度を記録します。これが「ベースライン」です。

判断基準:同一室温・同一負荷で以下の温度上昇が見られたら塗り直しを検討します。

NH-D15 グリス塗り直し判断基準
評価項目
状態
目安温度上昇(ベースライン比)
推奨アクション
正常範囲 ±2℃以内 +2℃未満 塗り直し不要
要注意 軽度劣化 +3〜+5℃ 3ヶ月以内に塗り直しを検討
要交換 劣化 +5〜+10℃ 今すぐ塗り直しを実施
緊急 著しい劣化 +10℃超 即日実施。サーマルスロットリングのリスクあり
Orange Hardwares「How Long Does Thermal Paste Last」の劣化指標とOCCT 30分テストの実測ベースを統合。室温25℃・負荷一定の条件で比較すること。

HWiNFO64で日常的に温度推移を監視する

OCCTによる定期テストと合わせて、HWiNFO64でアイドル時と負荷時の温度差を記録しておくと、グリス劣化の傾向をより早く検知できます。

必要な準備物

品目用途備考
無水エタノール(99%以上)古いグリス除去薬局購入可。消毒用(70%以下)は水分が残るため不可
コーヒーフィルターまたはマイクロファイバー布IHSの拭き取りティッシュは繊維が残るため不可
NT-H1(付属チューブ)またはNT-H2新規塗布付属チューブが残っていれば再利用可。NT-H2は熱伝導性が若干高い
プラスドライバー(No.2)SecuFirm2スクリュー精密ドライバーではトルクが不足するため通常サイズを推奨
静電気防止手袋(任意)静電気対策あれば使用。なければ接地してから作業

SecuFirm2の取り外し手順

STEP 1:ファンを先に取り外す

NH-D15のSecuFirm2マウントを外す前に、必ずNF-A15ファンを両方(またはシングル運用の場合は1本)取り外します。ファン付きのままクーラーを外そうとすると、ファンのワイヤークリップがヒートパイプに引っかかり、マザーボードに余計な力がかかります。

  1. ファンのワイヤーグリップ(プラスチック製のばね状クリップ)を指先で外側に押し広げ、フィン間のスロットから引き抜く
  2. ファン電源コネクタをマザーボードのヘッダー(CPU_FAN、CPU_OPT)から抜く

STEP 2:クーラーを左右に軽く回して固着を確認する

2年以上使用したNH-D15は、グリスが硬化してCPUのヘッドスプレッダー(IHS)に接着剤のように固着していることがあります。スクリューを緩める前に、クーラー本体を左右に5〜10度ほど軽くひねる(スクリューがゆるんでいる状態で行う)と、固着が剥がれ始めます。

STEP 3:SecuFirm2スクリューを対角で緩める

NH-D15のSecuFirm2マウントは、マザーボード背面のバックプレートにスクリュー4本で固定されています。

緩める順序(重要)

①左上 → ②右下 → ③右上 → ④左下
(対角線で均等に緩める)

1本ずつ全部を一気に外すのではなく、各スクリューを1〜2回転ずつ対角で緩めていくのが正しい手順です(Noctua公式マニュアル)。これによりヒートシンクへのプレッシャーが均一に解放され、CPUへの偏荷重を防ぎます。

対角緩め vs 片側一気緩め
評価項目
方法
CPU接触圧の均一性
固着解除のしやすさ
推奨
対角で1〜2回転ずつ 均一 均一に剥がれる ✅ 推奨
片側から順に全緩め 偏荷重発生 一部固着が残りやすい ❌ 非推奨
Noctua公式マニュアルの取り付け手順を取り外しに適用。対角での均一な圧力解放が正解。

古いグリスの除去と新規塗布

STEP 4:古いグリスを完全に除去する

クーラーのベースプレートとCPUのIHSの両方を清潔にします。

  1. コーヒーフィルターに無水エタノールを数滴含ませ、IHSの表面を円を描くように拭く(一方向に拭くと繊維が残るため円運動推奨)
  2. 乾いたコーヒーフィルターで仕上げ拭き
  3. クーラーのベースプレートも同様に清掃

STEP 5:NT-H1/NT-H2を「4〜5mmのセンタードット」で塗布する

Noctua公式マニュアルと複数のフォーラム報告(Tom’s Hardware・LTT Forum)が一致しているのが、**「直径4〜5mmのセンタードット(米粒より少し大きい量)を1か所置く」**という方法です。

なぜセンタードットか:NH-D15のベースプレートがIHSに圧着されると、グリスが自然に外周へ広がります。大面積のLGA1700/AM5ヒートスプレッダーでもプレッシャーで均一に広がる実測データが複数あります(Tech News Today)。

SecuFirm2の再組み立て

STEP 6:スクリューを対角で締める(止まるまで)

取り外しと逆の対角順序でスクリューを締めます。

①左上 → ②右下 → ③右上 → ④左下

締め付けのポイント:スクリューが「止まった」と感じたら、そこで止めます。過剰なトルクは不要です(Noctua公式マニュアル明記)。力をかけすぎるとバックプレートのナットが緩んだり、マザーボードが変形するリスクがあります。

STEP 7:ファンを再装着し、配線を整える

  1. NF-A15ファンをヒートフィン間のスロットに差し込み、ワイヤーグリップで固定
  2. ファン電源コネクタを元のヘッダー(CPU_FAN等)に接続

落とし穴5つ

塗り直し後のOCCT温度確認

再組み立てが完了したら、すぐにOCCTで30分の安定性テストを実施します。

確認項目

  1. CPU温度がベースライン(初回施工時)の±2℃以内に戻っているか
  2. OCCTのCPUテスト30分間でエラー・ハング・サーマルスロットリングが発生しないか
  3. HWiNFO64で12VレールがATX規格の±5%以内(11.4V〜12.6V)に収まっているか
塗り直し前後の期待温度改善(目安)
評価項目
測定タイミング
改善前(劣化グリス)
改善後(新規塗布)
改善幅
アイドル(室温25℃) 40〜45℃ 35〜38℃ -5〜-7℃
中負荷(Cinebench短時間) 72〜78℃ 65〜70℃ -5〜-8℃
OCCT 30分全負荷 82〜88℃ 74〜80℃ -5〜-10℃
Orange Hardwares・Tom's Hardware Forum・LTT Forumの複数報告を統合した目安値。CPU・クーラー設置状況・室温で変動あり。

よくある質問(Q&A)

Q: NH-D15付属のNT-H1チューブが固まっていた場合は?
A: チューブが固い・中身が出にくい場合は、手で1〜2分温めてから使用します。それでも出ない場合は内部で硬化している可能性があるため、NT-H1またはNT-H2を別途用意してください。

Q: 塗り直し後も温度が改善しない場合は?
A: ①グリスの量が少なすぎる(IHSとベースの接触面積不足)②SecuFirm2のスクリューが十分に締まっていない(圧着不足)③ファンカーブがシングルファン運用に最適化されていない、のいずれかが原因であることがほとんどです。ファンカーブ設定を見直すことも合わせて確認してください。

Q: 施工後にBIOS Fan Errorが出た場合は?
A: ファンカーブ最適化の記事に記載されているFan Errorへの対処法(Fan Stop Warningのしきい値を下げる)を参照してください。

Q: NT-H1の代わりにKryonautを使ってもいいか?
A: 使えます。ただしKryonautはポンプアウト現象(長時間加熱でグリスが外周に押し出される)が報告されており、NH-D15のような大型空冷での長期使用では逆にメンテナンス頻度が上がる場合があります(LTT Forum)。副業PCの安定性優先ならNT-H1/NT-H2が無難です。

Q: グリス塗り直しと同時にやるべきメンテナンスは?
A: NH-D15のフィン間のほこり除去(エアダスターで吹き出す)と、ファンブレードの清掃を合わせて実施するのが効率的です。ほこりが詰まったままでは塗り直しによる温度改善が半減します。

まとめ

NH-D15のグリス塗り直しは、日本語でまとまった解説がほぼない「2〜3年に一度のルーティン作業」です。7原則を要約します。

  1. OCCTで+5℃以上を確認したら塗り直しサイン
  2. ファンを先に外してからSecuFirm2を緩める
  3. 固着クーラーは左右に回してから持ち上げる
  4. 無水エタノール+コーヒーフィルターで完全除去
  5. 塗布量は4〜5mmセンタードット1か所だけ
  6. スクリューは対角で均等に、止まるまで締める
  7. 施工後はOCCT 30分テストで温度改善を数値確認

NH-D15を長く使い続けるためのDDR5クリアランス対処ファンカーブ最適化グリス塗り直しの3本セットが揃うことで、このクーラーを2〜3年以上安定稼働させる副業PC運用が完成します。

出典・参考情報