自作の基礎 (更新:2026-08-04)

OCCTの電圧グラフからPSU換装タイミングを判定する7原則|12V・5V・3.3Vの閾値と劣化の見極め

OCCTのPowerテストでCPU+GPUに同時フル負荷をかけながらHWiNFO64で12V・5V・3.3V各レールを記録すれば、電源ユニット(PSU)が「今すぐ換装すべき状態か」を数値で判定できます。ATX規格の±5%閾値・リプル120mV上限・コンデンサ経年劣化のメカニズムを交えて、PSU換装タイミングを見極める7原則を解説。推測ASIN・推測URLは不使用。

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CrystalDiskInfoでSSDの健康状態を監視し、OCCTで安定性テストをした——でも「電源ユニット(PSU)がそろそろ寿命かもしれない」という不安を、どうやって数値で判定しますか?結論から言うと、OCCTのPowerテスト(CPU+GPU同時負荷)を15〜30分実行しながらHWiNFO64で12V・5V・3.3Vの電圧グラフを記録し、ATX規格の±5%閾値(12Vなら11.4V〜12.6V)から外れた持続的な逸脱が確認できたときが換装のサインです。

副業PCを24時間つけっぱなしで運用している場合、PSUの内部電解コンデンサは5〜8年で劣化します。突然シャットダウンする・コイル鳴きが増した・リブートを繰り返す——こうした症状が出てからでは手遅れになることがあります。OCCTの電圧グラフを使えば、「症状が出る前」に劣化を検出できます。

この記事の要点(7原則)

  • Powerテスト(CPU+GPU同時)がPSU劣化の急所を突く — 通常使用では再現しないピーク電力をCPU+GPUに同時負荷して電圧降下を強制的に引き出す
  • 監視ツールはHWiNFO64をOCCTと並列起動する — OCCT単体のモニタより精度が高く、最小/最大/平均値が記録できる
  • 12Vレールが最重要 — GPU・CPUの主要電源。ここが揺れると即システム不安定につながる
  • ATX規格の±5%を絶対ラインとして使う — 12V=11.4V〜12.6V。この外側に出たら換装検討を開始する
  • 持続的な逸脱 vs 一時的な変動を区別する — 負荷急変時の瞬間的なサグ(数十ミリ秒)は正常。数分間ゾーン外が続く場合が問題
  • コイル鳴き増加・ランダムシャットダウン・画面フリッカーは電圧グラフと照合する — 物理症状だけで判断せず、数値の裏付けを取る
  • 推測ASIN・推測URLは不使用

OCCTのPowerテストで電圧グラフを取る方法

1. HWiNFO64をセンサービューで起動しておく

OCCTのモニタ機能も電圧を表示しますが、HWiNFO64のSensors-only表示の方が精度が高く、テスト後にログファイルで最小/最大/平均を確認できます。

  1. HWiNFO64を起動 → 「Sensors-only」を選択
  2. 「+12V」「+5V」「+3.3V」の行をピン留め(右クリック→Custom Order)
  3. 「Settings」→「Logging」→「Start Logging」でログを開始する

2. OCCTのPowerテストを設定する

  1. OCCTを起動 → 左メニューから「POWER SUPPLY」を選択
  2. モード:CPU + GPU / 持続時間:15〜30分(初回は15分でOK)
  3. 「START」をクリックしてテストを開始

3. テスト後にHWiNFO64のログを確認する

テスト終了後、HWiNFO64の「Stop Logging」を押してCSVファイルを保存します。ExcelやLibreOffice Calcで開き、+12V(最小値)+5V(最小値)+3.3V(最小値)の列を確認します。

各レールの正常・警告・換装閾値

ATX規格による電圧レール別の判定閾値
評価項目
正常範囲(ATX±5%)
警告ゾーン
換装検討ライン
+12V(定格12.0V) 11.40V〜12.60V 11.25V〜11.39V(-6.25%以内) 11.25V未満/12.60V超が持続
+5V(定格5.0V) 4.75V〜5.25V 4.65V〜4.74V 4.65V未満が持続
+3.3V(定格3.3V) 3.135V〜3.465V 3.08V〜3.13V 3.08V未満が持続
12Vリプル上限 120mV以内(ATX仕様) 120mV〜200mV 200mV超が確認できた場合
ATX仕様書±5%を基準。「警告ゾーン」は瞬間的な変動では問題ないが、Powerテスト中に5分以上続く場合は要注意。リプルはOCCTの電圧グラフの振れ幅で目視確認(精密計測にはオシロスコープが必要)。Tom's Hardware・Wikipedia ATX規格を参照。

換装を判断する3段階のフロー

OCCTの電圧グラフによるPSU換装判断フロー
評価項目
状態
判断
12V最小値が11.40V以上で安定(±5%以内) ✅ 正常。引き続き3〜6ヶ月ごとに再テスト
12V最小値が11.25〜11.39Vに数分間とどまる ⚠️ 警告。コイル鳴き・シャットダウン症状を記録開始。3ヶ月後に再テスト。悪化すれば換装
12V最小値が11.25V未満に落ちる/5Vや3.3Vも下限を割る 🔴 換装を推奨。作業データのバックアップを優先し、早期にPSUを交換
Powerテスト中にPCが突然シャットダウン・再起動する 🔴 即換装。PSUがOCPや過負荷保護を作動させている可能性が高い
12V電圧グラフの振れ幅が目視で大きくなっている(リプル増加疑い) ⚠️ コンデンサ劣化の疑い。精密確認はできないが、5V・3.3Vの安定性も合わせてチェック
「持続」の目安:Powerテスト(15〜30分)中に5分以上その範囲にとどまること。瞬間的なサグ(数百ミリ秒)は正常動作の範囲内。

コンデンサ経年劣化のメカニズム

PSUが劣化する主な原因は電解コンデンサの電解液蒸発です。電解液が減少すると等価直列抵抗(ESR)が5〜8倍に上昇し、ロード変化時の電圧変動を吸収する能力が失われます(GameMax PC)。

一般的なPSUの設計寿命は80PLUS認証クラスで8〜10年とされています。ただし以下の条件では劣化が早まります:

  • ケース内温度が常に40℃超(劣化率×2〜3倍)
  • 定格出力の85%以上を常用
  • 埃が詰まって内部冷却が不足している状態

副業PCでの実践:いつPSUを換装すべきか

落とし穴5つ

  1. 「12Vが11.5Vだから大丈夫」と安易に判断しない — 12VラインのマザーボードセンサーはPSU内部の実際の電圧を直接計測していません。PWM制御回路を経由した「推定値」に近い場合があり、実際の出力より0.1〜0.3V高く表示されることがあります。センサー値が11.5Vを示していても、PSU出力端子では既に11.2V台の可能性があります。

  2. OCCTのPowerテストだけではリプルは測れない — OCCTやHWiNFO64が表示する電圧はサンプリング間隔が長く(100ms〜1秒程度)、実際のリプル(数十KHz成分)は可視化できません。正確なリプル測定にはオシロスコープが必要です。「電圧グラフが安定して見える」= リプルが正常、とは限りません。

  3. Powerテスト中の温度スロットリングが電圧データを歪める — CPUやGPUが過熱してサーマルスロットリングが発生すると、消費電力が下がって電圧降下も小さくなります。「電圧が安定している」ように見えても実はスロットリングで負荷が落ちていた、というケースに注意してください。テスト中はCPU・GPU温度も同時に監視します。

  4. コイル鳴きの増大を単純に「PSU劣化」と断定しない — コイル鳴きはGPUの電力制御回路やマザーボードのVRMからも発生します。OCCTのCPUテストのみで鳴く場合はVRM起源の可能性が高く、PowerテストでGPUが絡んで悪化する場合はGPUまたはPSUが原因です。鳴く場面をGPUの有無で切り分けてからPSU換装を判断します。

  5. 電源ユニットの年式だけで判断しない — 同じ5年使用でも、涼しい低負荷環境と高温高負荷環境ではコンデンサの劣化速度が大きく異なります。年式だけでなく「使用環境の過酷さ」と「電圧グラフの実測値」を合わせて判断してください。

OCCTの電圧グラフからPSU換装タイミングを判定する7原則

  1. HWiNFO64のログをOCCT Powerテストと並列で記録する — テスト終了後にCSVで最小値を確認するため、テスト前に「Start Logging」を忘れない
  2. 12Vレールの最小値を「換装判断の主指標」にする — 5Vと3.3Vは軽負荷系のため安定しやすく、12Vの低下がPSU劣化の最初のサインになる
  3. ATX規格±5%(12V=11.4V〜12.6V)を絶対閾値として使う — この外側に「持続的に」出たら換装検討を開始する
  4. 「瞬間的なサグ(数百ms)」と「持続的な低下(5分以上)」を区別する — ATX規格は負荷急変時の瞬間的なサグを許容している。問題は持続的な逸脱
  5. Powerテスト中にシャットダウン・リブートが起きたら即換装検討 — PSUのOCP(過電流保護)やOLP(過負荷保護)が誤作動している可能性がある
  6. 年1回・夏前にPowerテストを実施する — コンデンサ劣化は夏の高温期に加速するため、梅雨明け前の6月ごろのテストが劣化をつかむのに効果的
  7. 症状(コイル鳴き増加・ランダムシャットダウン)が出たら電圧グラフで裏付けを取る — 物理症状だけで高額なPSUを換装する前に、電圧データで原因の蓋然性を確認する

よくある質問(Q&A)

Q1. OCCT Powerテストで12Vが11.3Vを記録しました。すぐ換装すべきですか?

ATX規格の±5%下限(11.4V)を継続的に下回っているため、警告ゾーン〜換算検討ラインに相当します。ただし、マザーボードセンサーの誤差(±0.1〜0.3V程度)を考慮すると、実際のPSU出力は11.0V台に達している可能性があります。コイル鳴き・ランダムシャットダウン等の症状がない場合でも、3ヶ月以内に再テストして傾向を確認し、悪化していれば換装を実行してください。

Q2. HWiNFO64で電圧を見ると、Powerテスト中に12Vが11.6Vで安定しています。問題ないですか?

ATX規格の±5%(11.4V〜12.6V)の範囲内であれば正常範囲です。マザーボードセンサーの精度が前提にはなりますが、11.6Vは「警告ゾーン」より上にあるため、当面は問題なしと判断できます。PSUが3年未満であれば次回テストは半年後、5年以上であれば3〜4ヶ月後に再確認することを推奨します。

Q3. OCCTのPowerテスト中にPCが落ちました。PSUが原因と断定できますか?

PowerテストはCPU+GPU同時フル負荷のため、PSU容量不足・PSU劣化以外にも、CPUのOCやGPUドライバの不安定、メモリの相性問題が原因になることがあります。PSUを疑う前に、OCCTのCPU-onlyテスト(15分)とGPU-onlyテスト(15分)を単独で実行し、各単体テストでは落ちない場合に「組み合わせによる電源容量不足・PSU劣化」と絞り込めます。

Q4. 購入から4年のPSUです。電圧グラフが正常でも換装を考えるべきですか?

4年では一般的に設計寿命(8〜10年)の半分程度です。電圧グラフが正常範囲(12V最小値11.4V以上)であれば、まだ換装の緊急性はありません。ただし、副業PCとして「止まったら困る」運用をしている場合は、年1回のPowerテストを継続し、電圧グラフに変化が出た時点で換装計画を立てておくことを推奨します。予防換装のタイミングとして「6〜7年目」を目安にする考え方もあります。

Q5. 80PLUS TitaniumのPSUも劣化しますか?

80PLUS認証は電力変換効率の認証であり、コンデンサの品質や寿命を直接保証するものではありません。ただし、上位認証(Platinum・Titanium)の電源は製造コストが高い分、使用コンデンサの品質も高い傾向があります(日本製105℃コンデンサ採用モデルが多い)。それでもコンデンサは必ず経年劣化するため、認証グレードにかかわらず年1回のPowerテストは実施してください。

まとめ

PSUの換装タイミングは「症状が出てから」ではなく、OCCTのPowerテストとHWiNFO64の電圧ログで定期的に「12V最小値がATX規格±5%(11.4V〜12.6V)に収まっているか」を確認することで、事前に察知できます。

Powerテスト中の電圧グラフで「12V最小値が11.4V未満に持続的に落ちる」「Powerテスト中にシャットダウン・リブートが起きる」のいずれかが発生したら換装検討を開始してください。コンデンサ経年劣化は使用温度が高いほど加速するため、副業PCでは夏前(6月)の年1回Powerテストを習慣にするのが最も合理的な維持管理サイクルです。

出典・参考情報